付加価値をもった人材に育てる「育成型」新卒紹介
グローバル人材には企業からの期待も大きい
企業の新卒採用、大学のキャリア教育、双方の視点から“付加価値人材”を育て、学生と企業のマッチングを図る企業がある。業界内でも早くから新卒紹介に取り組んできたディスコだ。 育成を通じて人間力を高めた人材は企業に評価されて内定を勝ち取るだけでなく、その企業で活躍し、次の世代を作っていく。ディスコの得意とするグローバル人材を中心に展開する「育成型」の新卒紹介について聞いた。
企業が求めているのは明確な「就業意識」を持った学生
----採用支援の代表的企業である御社にとって、新卒紹介はどのような位置づけのサービスでしょうか。
当社では、新卒採用に関してメディア、イベントと幅広くソリューションをご提案しています。「新卒紹介」もそのひとつで、採用人数が少人数の企業様やこれから新卒採用を始めるという企業様に主にご利用いただいています。
アウトソーシングはご承知のとおり、メディアへの出稿からエントリーの受付、学生とのコンタクト、説明会の実施といった採用実務をまとめて請け負うもので大規模な新卒採用を行う企業のご利用がほとんどです。お取引先の中には若干名や5名程度の採用を検討されている企業様も多く、そういった企業様へコスト面や実務面から効率的に成功させることができる採用手法として活用していただいています。また、2000年に紹介予定派遣が解禁になったことも「新卒紹介」がひとつの採用手法として認知されることになったきっかけでもあります。
現在ではアウトソーシングと組み合わせてご提供しているほか、追加募集や内定辞退等の欠員募集、スペックの明確なピンポイント採用などで、ナビと併用されている企業も全体の3割程度あります。人材紹介のメリットとしては初期費用がかからないこと、スクリーニングされた候補者から選考を開始できること、学生に対しての企業理解を深めたり、アピールをコンサルタントが行うことで動機付けができることなどがあると思います。また、今まで新卒採用をしたことのない企業様には新卒採用独自の採用ノウハウがない、採用スタッフを選任で置けないという課題から躊躇しがちだった採用に踏み切れるという点が導入しやすさになっていると思います。
---現在、特に注力されている「育成型紹介」とはどのようなものでしょうか。
多くの新卒採用をお手伝いする中で、近年特に感じるのが、企業と学生の意識のずれ、つまり「ミスマッチ」が非常に増えているということです。
企業が学生に求めているのは、なるべく早くビジネスの現場に対応し、付加価値を生む仕事ができるポテンシャルです。一方、学生側が就職に際して重視していることを聞いてみると、不況のせいか安定性や休日、待遇のようなことばかりが出てきます。意識がビジネスパーソンではなく、「ワーカー」化しているのです。結局、この最初の段階でのミスマッチが、最近よく話題になる若手社員の早期退職といった現象につながっているのではないでしょうか。
実際に、安定を求めるがゆえに大手企業に応募が集中し、採用意欲のある中小企業は人材の確保に苦労しています。大手志向にはしる学生たちに、自分に合った働き方や、企業の判断基準を養ってもらおう、企業と学生の意識のずれを解消しようと、私どもが取り組んでいるのが「育成型紹介」です。大学までの期間にビジネス教育を受けたことのない学生に対して、「企業とは何か」といったビジネスの基礎を理解してもらい、さらには仕事に対する動機づけや、就業意識の醸成なども行います。新卒紹介は大きな母集団からポテンシャルの高い学生だけを選抜するスタイルではないだけに、母集団そのものの質をあらかじめ上げた上でご紹介することが重要になってくると考えたわけです。
育成プログラム第一弾は「インド」でのグローバル研修
----具体的には、どのように育成されているのでしょうか。
育成プロジェクトが本格的に始動するのは2011年からですが、すでに今年(2010年)、第一弾のプログラムを実施しています。大学生から希望者を募って、インドで「Global Career Program」というグローバル人材の育成につながる研修を行いました。
高成長が続くインドのビジネスシーンを1ヵ月間体験してもらうもので、ビジネス英語研修、英語でのプレゼンテーション、現地のIT企業訪問、異文化体験を通してのダイバーシティ理解のほか、NGOが行っている貧困層支援活動なども手伝ってもらいました。学生からは非常に好評でしたし、その後の就職活動でも参加者に対する企業からの評価は高かったようです。来年以降も、地域や参加者を増やして行っていく予定です。
このグローバル人材研修を皮切りに、選抜した学生を対象とする一般育成セミナーの準備も進めています。時期的には、就職活動を本格的に開始する前の3年生の秋から冬に行い、企業のビジネスモデル理解から適性テストによる自己分析、職種の理解、もちろん「働くとはどういうことか」についてもじっくり考えてもらう内容です。
注目される外国人留学生、海外学生の新卒紹介
---グローバルという面では、「留学生」の採用支援も行っていらっしゃいます。
「留学生」には、日本で学ぶ外国人留学生と海外で学ぶ日本人留学生とがいますが、どちらも企業の関心は高いと感じています。特に、外国人留学生は、その母国での事業展開を考えている企業が積極的に採用するケースが増えています。
ただ、日本での就職を希望する外国人留学生のうち、希望通りに就職できるのは30%にすぎないというデータもあります。その主な理由は、求められる(ビジネス)日本語の水準には及ばず、また日本式の就職活動やビジネスマナーに不慣れなためだと言われています。そこで、当社では留学生についても「育成」をテーマとして取り組み、各種教材や講座で図っています。大学でも(キャリア教育の教材として)活用していただいています。
また、海外の日本人学生についても、当社が毎年アメリカで実施している「ボストンキャリアフォーラム」の知名度が圧倒的に高いことから、多くの優秀な学生のエントリーがあります。何らかの理由でキャリアフォーラムに参加できない企業と学生の双方に対して、新卒紹介は良い出会いをご提供できていると思います。留学生採用はピンポイントがほとんどですので、公募よりもまさに新卒紹介が向いている分野ではないでしょうか。ぜひお気軽にご活用いただきたいですね。
----ありがとうございました。単に学生をスクリーニングして紹介するだけでなく、社会人としての基礎を身につけさせるべく育成に真摯に取り組む御社のスタンスがよく理解できました。
企業データ
社名 | 株式会社キャリタス |
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本社所在地 | 〒112-0004 東京都文京区後楽2-5-1 飯田橋ファーストビル 9階 |
事業内容 | 人材採用に関するコンサルティング、採用広報活動の企画提案、学生募集に関するコンサルティング、人材紹介等を行う総合人材関連企業。就職・進学情報メディアの企画、運営。 |
設立 | 1973年10月1日 |
代表者名 | 代表取締役社長 新留 正朗 |